大阪の水族館運営会社の男性管理職2人による女性派遣社員へのセクハラ発言をめぐり、会社側が警告せず出勤停止とした懲戒処分が重すぎるかについて争われた訴訟の上告審判決が26日、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)でありました。第1小法廷は判決理由で「会社内でセクハラ禁止は周知されており、処分は重すぎない」として、処分を無効とした二審・大阪高裁判決を取り消し、懲戒処分を妥当とする一審・大阪地裁判決が確定しました。
今回の裁判を起こした男性2人は、いずれも職場でのセクハラ発言を理由に、勤務する大阪の会社から出勤停止30日と10日の懲戒処分を受け、管理職の課長代理から一般職の係長に降格させられました。この処分について管理職だった男性社員2人は、「重い処分なのに、事前の警告がなく手続きが不当」と主張していたものです。1審は訴えを退けましたが、2審は「女性から明確な拒否の姿勢を示されず、相手から許されていると勘違いしていたことを考慮すると、出勤停止などは重すぎる」として処分を取り消していました。
最高裁小法廷は判決理由で、会社がセクハラ禁止文書を作成して職場で周知したり、全従業員に研修参加を義務づけたりしていたことを挙げ、「管理職としてセクハラへの懲戒の方針を当然認識すべきだった」と指摘し、セクハラ発言の多くが密室で行われ、「会社が被害を具体的に認識して警告や注意をする機会はなかった」として、処分手続きに問題はなかったと結論付けました。